第一章/人間になりたい猫

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「……僕、やってみるよ」     僕がそう言うと、カミサマは僕に白い首輪を付けた。そしてそいつに引き寄せられるように、灰色の球体がくっついた。         「決して涙を見せてはいけないよ」     カミサマは段々遠くへ離れていき、真っ青な空が黒くよどんでいく。     「待って! まだよくわからないよ。僕どうすればいいの?」   雲は僕を追い詰めるように消えていく。   もう、逃げ場はない。     「材料は与えたんだ。あとはランプ、お前がどう切り開くかだ」     遂に最後の雲が小さな音をたて、消えた。       ふわりと変な浮遊感を感じた後、僕はそのまま真っ逆さまに落ちていった。       「不幸を呼ぶ猫ランプ。人間になりたければ集めるんだ。100人分の涙を」       太陽は灰色の球体に怯えるように、雲間に隠れた。        
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