第二章/100人目の涙

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ターゲットを、子供に絞った。あいつらはしょっちゅう涙というものを流している。いい獲物だ。     最初は戸惑った。人間は嫌いだったけど、人を悲しませるような事には興味がなかったから。   人間と深く関わってこなかった僕には、何が悲しくて何が不幸せなのかがよく分からなかった。   だけど人間を観察していくうちに、だんだんそれを理解してきた。   顔をひっかいたり、大切なおもちゃを壊したり、子供の涙をみる度に僕は笑った。   99人が泣けば、僕は99回笑うんだ。     人間に一歩一歩近づいていく。首輪にぶら下がってる灰色の球体も60人目を過ぎたあたりから淡い青に変わっていった。         痛くも痒くもない。   あいつらがどんなに泣きわめこうと、僕には無関係だ。   むしろ喜びを感じる。だってもうすぐで                 人間になれるんだから。
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