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そう言って昌浩は、物の怪を抱き上げ、
「これが物の怪のもっくんです。」
「物の怪言うな!」
もっくんはがおうと吠えると、昌浩がすいませんと頭を下げた。
「俺は蓬莱葉月。都には2,3日程前に着いたんだが、さっきの邪気の原因である妖が、現れてな。逃げられ続けてさっき退治したところだったんだ。」
大したことないなという言葉が、足下から聞こえたが、またそこは無視する。
「あの、これからどうするんですか?」
「いや、あばら家が有れば、そこに住もうかと・・・。」
「えっ!?あばら家って、妖が出やすいですよ!」
「けれど雨風しのげれば、どこだっていいんだが。」
「それじゃあ、家に来てください!」
「「えっ!?」」
ここで初めてもっくんとあう。
「いや、別にたかが妖が出やすいからっていう理由で、今会った他人の知らない家にお世話になるのは・・・。」
「何考えてるんだ昌浩!」
「もっくんは黙ってる!あの、嫌ですか?」
「いや、こちらとしてはありがたいけれど。」 「それじゃあ、決まりです!早速、向かいましょう!」
葉月は昌浩に連れられて、お世話になることにした。
もっくんは昌浩の行動の速さに呆けた顔で2人の背中を見続けていた。
その様子をずっと見ていた視線に、3人は気づくことはなかった。
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