一章

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そう言って昌浩は、物の怪を抱き上げ、 「これが物の怪のもっくんです。」 「物の怪言うな!」 もっくんはがおうと吠えると、昌浩がすいませんと頭を下げた。 「俺は蓬莱葉月。都には2,3日程前に着いたんだが、さっきの邪気の原因である妖が、現れてな。逃げられ続けてさっき退治したところだったんだ。」 大したことないなという言葉が、足下から聞こえたが、またそこは無視する。 「あの、これからどうするんですか?」 「いや、あばら家が有れば、そこに住もうかと・・・。」 「えっ!?あばら家って、妖が出やすいですよ!」 「けれど雨風しのげれば、どこだっていいんだが。」 「それじゃあ、家に来てください!」 「「えっ!?」」 ここで初めてもっくんとあう。 「いや、別にたかが妖が出やすいからっていう理由で、今会った他人の知らない家にお世話になるのは・・・。」 「何考えてるんだ昌浩!」 「もっくんは黙ってる!あの、嫌ですか?」 「いや、こちらとしてはありがたいけれど。」 「それじゃあ、決まりです!早速、向かいましょう!」 葉月は昌浩に連れられて、お世話になることにした。 もっくんは昌浩の行動の速さに呆けた顔で2人の背中を見続けていた。 その様子をずっと見ていた視線に、3人は気づくことはなかった。
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