一章

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やっぱり警戒心剥き出しか~この物の怪。 「邪気だったら、もう心配いらないよ。俺が退治しといたから。」 手をひらひらさせながら言うと、物の怪は機嫌をますます損ねたみたいだ。 ふと、男の子のほうは呆けた顔をしていたのでどうしたのか気になり尋ねてみた。 「君、大丈夫か?」 声をかけられたことで、はっと我に返った男の子にどうしたのかを聞いてみた。   物の怪が、俺の質問に答えろと足下で言っているが、そこはあえて無視する。 「あっ、いえ、その・・・失礼ですが・・・あなたは女性ですよね?」 成る程、女の格好をしているのに男みたいな言葉遣いで驚いていたのか。 「ああ、これでも一応は女だよ。」 「すいません、失礼なことをお訊きして。」 「気にするな。誰だってこんなふうに話されれば、ききたくなる。」 「昌浩!お前まで無視するな!というか、少しは警戒心を持て!」 物の怪は、自分無しで続く会話にしびれをきらしたらしい。 「もっくん大丈夫だよ、そこまで警戒しなくても。えっと、俺は安倍昌浩です。」
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