永遠の片思い

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その日は、卒業式の前日ということあってか、教室内はざわざわしていたと思う。思うっていうのは、わたしがそれを覚えていないからだ。 今までこれといった休みをしたことのない太陽くんが、HRの始まる時刻になっても来ない。 どうしたんだろう。 風邪かな。 卒業式前日に風邪を引く太陽くんのことを考えて、くすっと笑った。 遠足を前に熱を出してしまうこどもみたい。 そう思ったのだ。 HR時刻。 廊下から響く足音が、いつもより早く聞こえるのは気のせい? その足音に耳をすませて、自分の机で待機する。先生が来るまで、友達と喋っているということはしない。話す友達もいないし、何より、先生に怒られるというのが嫌だ。一度、先生に怒られたことがトラウマになった。 小学2年生の頃、体育の授業で先生の話をボーっと聞いていて、怒られた。頭を叩かれた。頭と心が痛かった。だから、誰かに怒られるようなことはしないことにした。
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