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「もう、始まる頃かな」
わたしは、自分の部屋のベッドの上で仰向けになっていた。
今の時刻は、夜の7時ジャスト。部屋の時計を眺めて、体制を変えて、うつ伏せになる。
聞かなかったことにしよう。どうせ、明日で卒業するし、お通夜の時刻なんて、聞かなかったとしても、どうってことない。もう高校に受かってる。受験にも差し支えない。
…わたし、冷たいのかな。
太陽くんの最後の姿、見られないなんて。弱いのかな、心が。
明日は太陽くんのお葬式。
午前11時から。卒業式が始まる時刻と一緒だ。
『太陽くんと、卒業したかったよっ!!』
どうにもならないこの思いを叫びたい。
『好きだよ、太陽くん!!』
でも、届かない。
なんで、今頃になって、涙が出てくるんだろう。わたしの涙腺、どうかしちゃってる。あの給食のときの涙だって、まったく止まらなかったのに、太陽くんの言葉で止まったの。太陽くんの言葉だけで。
―もういないんだ、太陽くん。
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