同じ顔、同じ声

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入学式にふさわしい、 雲ひとつない快晴の天気だ。 新しい制服を着るわたし、 檜山朝日。 前の学校では、セーラー服だったので、 ブレザーを着ることになれていなくて、戸惑った。 カッターシャツの上のボタンがとまらなくて、あくせくしていた。結局お母さんにとめてもらった。 向坂高校正門。 『入学式』 と書かれた看板が目に入る。 今日からわたしも高校生。 だけど。 わたしは、昨日出会った、太陽くんによく似た男の子の顔が忘れられない。 絶対見間違いのはずなのに、 どこかで期待してる。 だって、まだ信じられない。 きっと、生きてるんじゃないかって、 思えてしまうの。 太陽くんの最後を見ることができなかったからかな、そう思うのは。 身勝手。 胸の奥がズキンと痛む。 だって、まだ、恋してる。 わたしは、太陽くんに恋してる。
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