永遠の片思い

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わたしも、太陽くんも、向坂高校に合格した。向坂高校に合格した、と知ったのは、太陽くんの友達が、教室で大声で話していたからだ。よかった、と思った。これで、また3年間一緒だ。安心した。 でも、太陽くんのことを見ていられる時間が、限られていることに、このときのわたしは気付いていなかったんだ。 卒業式前日。中学の制服を着て、鏡の前で、ポーズを決める。自分の顔は好きじゃなかったけど、見慣れてしまっているので、気にしない。今日は、卒業式前練習の日。起立、礼、卒業証書授与の練習がある。明日でこの制服を着ることもないのかと思うと、淋しくなって、ゆっくり自分の姿をみたくなったのだ。大して、よい思い出があるわけでもないけど、それでも、太陽くんの一つ一つの姿が頭の中に浮かぶ。教室で友達と笑っておしゃべりしている姿、バスケ部で、シュートを決める姿。ほんとうに眩しい。太陽みたいに眩しい彼の姿。考えるだけで、顔が火照ってしまう。 「そろそろ学校行かなくていいの?」 突然母親が部屋に入ってきて、今の時刻が7時30分であることを告げた。 「はい、今からいきます」 とわたしは答えて、通学カバンを持ち上げて、部屋のドアを閉めた。
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