222人が本棚に入れています
本棚に追加
そうこうしているうちに、
目的の服屋に到着した。
霧生の後について、れんも中へ入る。
店員「いらっしゃいませ~」
店内には沢山の着物が並んでいた。
れん「……。」
(うわぁ…こういうとこ、初めて…。)
れんは目をまんまるにしている。
霧生「気に入ったのあったら何でも言えよ。」
そう言われて、店内を見て回るが、
どれがいいかなんてさっぱり分からない。
店員「お気に召したものはございますか?」
れん「えっ、と…」
れんは基本的に人見知りするようだった。
それに、つい最近まで、
あの家の人間以外と話した事も無かったのだ。
店員と何を話せばいいのか分からず、
すっかり困ってしまった。
霧生「……。」
店内の壁にもたれかかっていた霧生は呆れたように、
一枚の着物を掴んでれんに渡し、
試着するように促した。
店員はれんを連れて店の奥へと消えていった。
少しして店の奥から出てきたれんは、
黒い蝶の柄の真っ白な着物を着ていた。
れん「…変じゃないですか?」
霧生「…別に。」
霧生はそっぽを向いた。
店員「よくお似合いですよぉ!最近若い方に流行りの短めの丈ですし!これにいたしますか?」
れん「えっと……はい。」
霧生「…それと、それに合う羽織りと履き物も揃えてくれ。」
店員「かしこまりましたぁ。さ、こちらへどうぞ!」
れんは店員に連れられ、
色々と試着していく。
途中、ちらりと霧生を見ると、
そっぽを向いたまま、やはり壁にもたれていた。
店員「ありがとうございましたぁ!またお越しください!」
羽織りと履き物も無事購入し、
二人は店を出た。
れん「あの…ありがとうございます。」
霧生「ついでに笠も買って行くか。雪除けにもなる。」
そう言うと霧生は近くの笠屋に入った。
れんも続いて中に入る。
霧生は年老いた店員と二、三言葉を交わし、
すぐにれんに合った笠を買い、外に出た。
霧生「さて、次は書物館へ行くぜ。」
れん「…書物館?」
霧生「知らないのか?色んな書物が読める所だ。」
れん「調べ事、ですか?」
霧生「…まぁそんなとこだ。」
二人は書物館へと歩いて行く。
最初のコメントを投稿しよう!