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朝からとても冷える日だった。
少女はゆっくりと起きあがる。
薄くて汚らしい、
あちこち破れて
ボロボロの服を着て、
布団も無い。
藁が敷布団で、
引き裂かれたような布きれが掛布団だった。
少女「……。」
(寒い…)
ゆっくりと、掌に力を込める。
寒さの為か、体が、うまく言う事を聞かない。
少年2「おいお前!いつまで寝てるんだよ!とっとと起きろよ!」
少女「……。」
同じくらいであろう年頃の少年が、
少女を起こしにやって来た。
ふらふらと立ち上がろうとする少女を、
少年は蹴り倒した。
少年2「お前、何様だよ!父ちゃんと母ちゃんがお前を拾ってやったから今でもこうやって生きてられるんだよ!」
少女「……。」
少年2「聞いてんのかよ、鈍間な奴だな!ほら、とっとと働けよ!」
今日もまた、何も無い日が始まる。
それから、
少しずつ日も傾き始めた頃。
人通りのない静かな道を、
笠を目深に被った一人の男が歩いていた。
男「…雪、か。」
ふと、目の前をひらりと雪が舞い落ちた。
男は軽く空を見上げる。
まだ二十代と思われる、若い男だ。
男「……。」
空を重たい雲が覆っている。
男「……ん?」
ふと空き地の側を通りかかると、
そこに数人の子供の姿が見えた。
三人の少年が、一人の少女を取り囲んでいる。
三人は、木の棒を持って少女を虐めていた。
男「……。」
男は離れた所からその様子を見つめる。
少年1「ばぁか、ばぁか!」
少年3「弱っちい女のくせに!生意気なんだよ!」
少女は、強い色の目で少年達を見上げた。
少年3「ムカつく目しやがってさ!」
少年の一人が、
手を振り上げた。
パンッ
少年は少女の頬を打ち、
少女は地面に倒れた。
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