魔法の効力

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 従者がやっとパン屋にたどり着いた。連れ出されるように店をあとにする。 「長居は禁物です、王子とバレたら大騒ぎなんですから」 「これ以上の騒ぎが起こるのか?」  王子は耳をふさぎ、しかし目はキョロキョロとまわりを見る。 「みんなは僕の誕生日を祝うのに、僕の顔を知らないのか?」 「存じてますよ。しかし、身近にいるとは思っていないのです」 「そんなものか」 「はい」  少しふてくされた王子は、口の端についていたらしいチョコレートを拭った。 「面白いものだな」  王子のつぶやきは、どうとも捉えることができず、従者は苦笑する。 「そろそろ戻りましょうか」  ゆっくりと馬車のある方向へ、歩みをかえた。
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