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「な、」
「にゃあっ!?」
従者と黒猫、もとい王子の声が重なる。
「にゃにゃにゃあっ」
王子は不満だとばかりに騒ぐが、言葉が話せず鳴き声しか出ない。
――だったらなぜ僕が猫なんだっ! 同じネコ科ならライオンがよかった! ライオンだったら戻れないなりに楽しめたろうにっ
王子はそう言ったつもりだったが、従者は「早く戻せ」と言ってるのだろうと受け取った。
「どうやっても戻らないのですか」
魔法はかけた本人が解かないと危険なもの。何が起こるかわからない。王はきっと、たやすく魔法を解くことができるくせに、楽しむためにそれをしないのだろう。なら、解除の方法を聞くしかない。
「戻る方法はあるっ」
待ってましたとばかりに、王は高らかに言った。
「王子が好きになった奴とチュウすればよいっ」
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