好きな人は誰だ

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 朝になったら、いつもの僕になっているかもしれない。それは一パーセントにも満たない希望。  うっすらと目を開き、両手を伸ばす。ぼきぼきと骨が鳴る。あくびをかみしめ起き上がった。顔を洗わないと、キングサイズのベッドから降り、洗面所へ。寝室に一番近い引き戸を引く。洗面台にかけてあったふわふわのタオルを肩にかけ、冷たい水で顔を洗う。 「ふうっ」  ゴシゴシと顔を拭き、鏡を見た。見慣れた黒い髪に白い肌……って! ――戻ってる! 「にゃあっ!」  そう言いながらガバッと起き上がる。しかし言ったはずの言葉はやはり「にゃあ」、目に入るのは黒い前足。 「……にぁ」 ――夢かよっ。  ため息が出る。もう一度、夢の中で人間に戻ろうと布団の上に丸くなったとき、コンコン、部屋のドアが叩かれた。
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