始まりは誕生祭

5/5
前へ
/58ページ
次へ
 悩んでいると、ドアがノックされた。 「王子」  従者の声。 「入れ」 「な、なんですかその格好は!」  ドアが開くと同時に悲鳴にも似た声。 「急に大きな声を出すな」  耳がキンキンする。王子は肩をすくめた。 「失礼しました、しかし……」  王子の全身をじっくりと見る。どこにあったのか、白地にカラフルなドットをあしらったサテンのトップス。ボトムスは怪しい赤のかぼちゃパンツだ。趣味が悪いし、これは…… 「それでは道化師ですよ」  せっかくの可愛い顔も台無しだ。従者は開いたままになっていた王子のクローゼットから、無難な黒いTシャツとグレーのハーフパンツを取り出す。 「これに着替えてください」 「結構いいと思うんだが」  不満そうな王子を一蹴する。 「かなり悪いです」
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加