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「煎れてきました…」
「宜しい」
そう言って、虹琥珀は盆の上の茶を受け取り、すする。
今回はしっかりと本を読んで、情報を手に入れてから、煎れてみた。温度もしっかりと温度計で計った。
これを煎れるために20回ほど煎れなおしたのは秘密だ。
ズズ…
ズズズ…
「!」
「どうし…た、ました?」
「茶柱じゃ♪」
「え?!あぁそぅ…」
そう言って、湯飲みをこちらに向け、ぱたぱたと尻尾を振る。
………あの尻尾、もふもふしたい…
関係ないけど…
ズズズ…
ズズズ…
「……どうかな?…」
ところで、やっぱり努力して見たものは、やっぱり反応がほしくなるものだ。
俺もさっきから、ウズウズしていた。
「ん?」
「あ、いや、お茶は……」
「………はっきりいって、不味い。」
「ぁ、…そぅ……」
「でも、がんばったのが、良く伝わるお茶じゃ」
「ぉ、おう…」
なんとなく、この流れがデジャヴな感じがしたのは、気のせいだろうか……
「これ、何回も煎れなおしたじゃろ?そのたびに茶っぱを換えての、ちょっと、もったいなかったのぅ。今度から、煎れたら、全部持ってくるように」
そう言いながら、指をくるくると回す虹琥珀、そこまで読まれてたか…
「別に、さっきは読んだわけではない。その指の火傷を見ればわかるからの。温度計ではかったのもわかったぞ」
ふと、指に目が向く。
たしかに、火傷はしているが、そんな、注意して見なければわからないようなレベルだ。
「お前は読心術師…だな」
「にょほほ~」
だが、その、上機嫌な虹琥珀が、もう一度緑茶をすすり直そうと思った矢先、
カッキャァン!
「うぉあ!?」
「え?あ、つ!」
どこからともなく飛んできた、何かによって、虹琥珀の持っていた湯飲みが飛散する。
「大丈夫か!?」
「ん、大丈夫じゃ……こんなことするのは誰か分かっておる……」
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