第二章

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「煎れてきました…」 「宜しい」 そう言って、虹琥珀は盆の上の茶を受け取り、すする。 今回はしっかりと本を読んで、情報を手に入れてから、煎れてみた。温度もしっかりと温度計で計った。 これを煎れるために20回ほど煎れなおしたのは秘密だ。 ズズ… ズズズ… 「!」 「どうし…た、ました?」 「茶柱じゃ♪」 「え?!あぁそぅ…」 そう言って、湯飲みをこちらに向け、ぱたぱたと尻尾を振る。 ………あの尻尾、もふもふしたい… 関係ないけど… ズズズ… ズズズ… 「……どうかな?…」 ところで、やっぱり努力して見たものは、やっぱり反応がほしくなるものだ。 俺もさっきから、ウズウズしていた。 「ん?」 「あ、いや、お茶は……」 「………はっきりいって、不味い。」 「ぁ、…そぅ……」 「でも、がんばったのが、良く伝わるお茶じゃ」 「ぉ、おう…」 なんとなく、この流れがデジャヴな感じがしたのは、気のせいだろうか…… 「これ、何回も煎れなおしたじゃろ?そのたびに茶っぱを換えての、ちょっと、もったいなかったのぅ。今度から、煎れたら、全部持ってくるように」 そう言いながら、指をくるくると回す虹琥珀、そこまで読まれてたか… 「別に、さっきは読んだわけではない。その指の火傷を見ればわかるからの。温度計ではかったのもわかったぞ」 ふと、指に目が向く。 たしかに、火傷はしているが、そんな、注意して見なければわからないようなレベルだ。 「お前は読心術師…だな」 「にょほほ~」 だが、その、上機嫌な虹琥珀が、もう一度緑茶をすすり直そうと思った矢先、 カッキャァン! 「うぉあ!?」 「え?あ、つ!」 どこからともなく飛んできた、何かによって、虹琥珀の持っていた湯飲みが飛散する。 「大丈夫か!?」 「ん、大丈夫じゃ……こんなことするのは誰か分かっておる……」
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