第一章

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「うっせぇなぁ!!ミウ!!しかも、変なもんじゃねぇよ!!やっと届いたのか…さっさとよこせ!」 リョウは妹、ミウが居ること無視して、思い切りドアを押し開け、よろけたミウの両手から、荷物を奪うと、また思い切りドアを閉めた。 「ふ、ふ、ふ、ふ………銀様~銀様~そ~れそ~れ乳酸菌飲料~」 リョウは変な歌を歌いながら、その、奪った包を開ける。 それはかなり大きい。 包んであった、油紙をビリビリと破いて捨てると、中には、光沢のある、黒い箱……鞄であろうものが現れた。 所々、金の金具がはめてある。 リョウはその蓋を勢いよく開けた。 そこには、一体の人形が、寝ていた。 黒いヘッドドレス、ドレスローブに身を包み、そして背中に黒い羽が生えた…… そう、水銀燈だ。 リョウは両手で水銀燈を抱き抱えると、ペタペタとその人形の体を触り始める。 あまり、目に負えない光景…… 「まぁ……こんなもんか…」 さわった感覚はもろポリウレタン、塩ビ製。そして、その人形は、目を開けることは絶対にない。 「…………」 いくら探しても、絶対に生きた人形は、無いことは解っている。 でも、やっぱり、 「まきます………来ないかなぁー……」
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