第一章

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「なんだ……これ?」 リョウは、水銀燈の人形にしたように、両手を腋に入れ、抱き上げる。 頬をつねってみる。 「やわらかい…や」 今までてに入れてきたどのレプリカにもない、ウレタンでも、塩ビでもない、本当の人間のような、肌だった。 「でも………」 目線を移す。 「………耳?」 さわってみる。 もふもふと、やわらかい。 そして、足首を見る。 球体関節 やっぱりこれは人形だ。 「!」 足首を見ていたら、気付いてしまった。 ジュンと同じように 「はいてるんだ………やっぱり……って!」 そんなことしてる場合でない。 こんなドールは見たことがないが、これが本物なら、あれがあるはずだ。 リョウは鞄の方へ目を向ける。 「あっ……た……」 そこに見えるのは、螺。 薔薇の彫刻の入る、金の螺。 リョウは震える手で螺に手を伸ばす。 何度も取り落とすが、ようやく、手の中に、入り込む。 そして、リョウはその人形の背中を探ってみる。 螺穴は あった……… 「まいて………みる」
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