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そのとき我に返った。
なんて…なんて残酷なのだろう…。
親友を殺したのに…
好きな人を殺したのに…
いつの間にか私は二人を殺した事を認めていた。
『今ごろ気付いても遅い……。二人を殺したことが快感だったこと。それで、あなたは得したの?』
背後から不気味な声が聞こえる。
振り向くとそこにはパフユームを買った店にいたお姉さんだった。
『あなたはっ…!どうして家のなかにいるのっ!?』
クスッと笑って答えるお姉さん。
『それは、あなたがミスをおかしたからよ。私はあなたにパフユームをあげるとき言った。しっかり説明書を読んでって。なのにあなたはちゃんと読まなかった。私の警告を無視したのよ。』
『私は無視したんじゃないわっ!そんな大事なこと…一番最初に書いておいてくれれば…!下のほうに書くのがいけないんじゃないっ!』
それを聞いたお姉さんは私の胸元に手をそえた。
『やっ……何するの…?』
『あなたはいつもそう。自分の思い通りにいかないと気がすまない。だからパフユームを使って自分が思い浮かべる記憶を相手に作り出したのよね?でもそれが間違いなの。あなたが恵美や章吾にパフユームを使ったせいで、恵美と章吾は本来あった記憶を忘れ、あなたが作り出した記憶しか残らなくなった。本来の記憶が無くなった二人は混乱したのよ。混乱で無事にもとの自分を取り戻した恵美は、パフユームが効かなかった。でも章吾は混乱に負け、本来の自分を見失った。だから恵美には効いてなくて章吾には効いていたのよ。』
やっと理解出来た気がした。
恵美にだから効かなかったんだ。
『そしてあなたは周りがおかしくなっている事に気がついた。章吾は恵美を忘れていたはずなのに恵美と付き合っている。そして二人は自分の悪口を言っている。でもそれが現実だと気がつかないあなたはとうとう自分に残りのパフユームを使った。でも自分にかけたせいで効かなかったの。だからさっきのように記憶がよみがえったの。』
お姉さんの言っていることが解らなくなってきていた。
よくわからないよ……。
でも一つだけ分かった。
私は章吾と恵美にパフユームを使ったせいで二人を苦しめていたんだ。
二人だけじゃない。
同じ学年の同級生にも………。
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