パフユーム

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私は箱の中にある紙きれ…説明書を取出し読み始めた。 ~取り扱い説明書~ 今回は記憶のパフユームのお買い上げ、まことに有り難うございます。記憶のパフユームをお使いになるまえに注意事項をしっかりとお読み下さい。 ・注意事項 ①割れ物です。取り扱いに注意してください。 ②幼児の手の届かないところに保管して下さい。 ③万が一、目や鼻に入った場合、医師に相談してください。 なんだ。他の香水とかとたいして変わらないじゃない。 ・使用方法 記憶のパフユームの使用の仕方。 パフユームを記憶の消したい相手に振り掛けます。そのとき、相手のなかから消したい記憶を思い浮かべます。 次の日には忘れているでしょう。 ・記憶のパフユームの効果 このパフユームでは、記憶を“消す” “操る”“作り出す”事が可能です。 凄い…この香水すごいっ!! 明日早速章吾に振り掛ける。 願いが叶うんだ! 興奮した私は一睡も出来なかった。 ―次の日 家からでると、昨日みたいに恵美が後ろから話し掛けてくる。 恵美……親友だけど……… 許してね。 学校についた。 制服のポッケには記憶のパフユームがしっかりと入っている。 『章吾…ちょっといい?』 私は章吾を呼び出し、屋上へ行った。 『麗子?なんの用だ?』 『あぁー…うん…この前相談してくれたのに、断っちゃったから謝ろうと思って……ごめんね!』 私は演技をした。 私は断った事に後悔はしていない。 『まぁ大丈夫だよ。ごめんな…こっちこそ…あんな相談…。』 『謝らないで。いいんだよ』 キーンコーンカーンコーン… 『あっ!予鈴だ!麗子戻ろう』 章吾が振り返り、教室に戻ろうとする…… 今だ! バッ……! シュゥゥ…… 私は記憶のパフユームを章吾に振り掛けた。 章吾のなかから恵美がいなくなりますようにっ!! 私は願った。 これで明日には記憶の中から恵美は消えている。 章吾ごめん。 章吾が恵美を好きだという気持ちが無くなってしまう……。 ごめんね章吾…許してね……? 教室に戻ってから、相変わらず章吾は恵美に話し掛けている。 こんな場面を見るのは今日で最後。 明日が楽しみで仕方がない。 明日には章吾から恵美との記憶が…!
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