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ねえ、君は何故そこにいるの?
空は厚く雲が垂れ込めて青い空から僕を引き離すかのように存在を主張していた。
艶やかに空を駆ける稲妻は空を見上げる僕をいつ喰らおうかと狙っている。
「悪いな、待ったか?」
「遅い。電話してから何時間経ったと思ってるの?」
「え、3分43秒だろ」
腕時計を見て不思議そうに肩をすくめる彼を足払いから卍固めのコンボでつないで黙らせる。
3分も僕を待たせるなんて下僕として失格だよ。
「ギブギブギブ――っ!!」
悲鳴を上げた彼を蹴飛ばしてから空を見上げて。
ふと、気付いた。
いつの間にか雷鳴は止まり陽射しが天使の階(きざはし)のように雲を貫いている。
彼がいるだけで、世界は僕を否定しなくなる。ただ、ありのままに立つ彼を世界は歓迎しているのだ。
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