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「あーかったりぃ」
市立神尾高等学校。その一つの教室で少年は呟くように小さな声でそう言った。
伏せていた顔を上げ頭をボリボリとかく。
その姿は何処にでもいる高校生のものと何ら変わりはない。
ガヤガヤと周りの声が騒がしい事からどうやら休み時間の様だ。
「おーい。潤!飯食いに行こうぜ?」
彼の席に近付き少年に話しかける。
潤と呼ばれた少年はいかにも怠そうに切れ長の目を向ける
「なんだお前か。」
対照的に話しかけた少年はニコニコといった擬音が似合う笑顔を浮かべていた。
「お前はねぇだろ?それよりも早く飯食いに行くぞ!食堂混んだら食えねぇべ?」
急かす少年の声にやれやれと立ち上がり、連れだって歩き始めた。
「なぁ潤。昨日のテレビ見たか?」
何処にでもいる高校生が交わす様な会話である。
「あぁ。キャットの事がまたニュースに取り上げられてたな…」
ただ一つ。可笑しな話の題材を除いて…
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