第二章 秘められた想い

10/18
3571人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
四国屋への道のり。 今日は祇園祭の宵山。 あちこちから祇園囃子が聞こえてくる。 京の夏の風物詩でもある祇園祭は京の人々にとっても特別なもの。 楽しそうな声の中、一際異彩を放っていたのは俺達新選組だった。 夜とはいえ、京の夏は暑い。 蒸し暑い上に鎖帷子やら鉢釛やら重装備の俺達は異質だった。 土「斎藤、どう思う?俺達か、局長らか。」 隣を歩いていた俺に副長が聞いてきた。 斎「俺達であることを祈るな。」 土「…俺もだ。」 あっちは沖田や永倉など剣豪揃いとはいえ、やはり十名。 相手が何人か分からないが、場合によっては反逆される可能性もある。 そして、あいつを傷つけた宮部はなんとしてでも討ち取りたい。 それはおそらく、隣にいる副長も同じ事を考えているだろう。 俺の心を読むかのように副長は俺にだけ聞こえる声で言った。 土「宮部は俺が殺る。渡さねぇぜ?」 副長は口端を吊り上げて笑って見せた。  
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!