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四国屋への道のり。
今日は祇園祭の宵山。
あちこちから祇園囃子が聞こえてくる。
京の夏の風物詩でもある祇園祭は京の人々にとっても特別なもの。
楽しそうな声の中、一際異彩を放っていたのは俺達新選組だった。
夜とはいえ、京の夏は暑い。
蒸し暑い上に鎖帷子やら鉢釛やら重装備の俺達は異質だった。
土「斎藤、どう思う?俺達か、局長らか。」
隣を歩いていた俺に副長が聞いてきた。
斎「俺達であることを祈るな。」
土「…俺もだ。」
あっちは沖田や永倉など剣豪揃いとはいえ、やはり十名。
相手が何人か分からないが、場合によっては反逆される可能性もある。
そして、あいつを傷つけた宮部はなんとしてでも討ち取りたい。
それはおそらく、隣にいる副長も同じ事を考えているだろう。
俺の心を読むかのように副長は俺にだけ聞こえる声で言った。
土「宮部は俺が殺る。渡さねぇぜ?」
副長は口端を吊り上げて笑って見せた。
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