第二章 秘められた想い

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あいつはいつもなら人の気配に直ぐに気付く。 しかし今、あいつは俺の存在に気付いていない。 余程の想いがあるのだろうか。 「どうした…」 俺はいてもたってもいられず、思わず声をかけた。 凛「斎藤さん…」 その声に覇気はなく、いつも底抜けに明るい声は全くなかった。 今にも消えてしまいそうな、そんな姿だった。 抱きしめたい。 そんな衝動に駆られた。 しかし今のあいつに近付ける勇気は俺にはない。 近付くなという空気を纏ったあいつに少しでも触れてしまうと、硝子のようにあいつ自身が粉々になってしまうんじゃないかと思った。 だからあえて少し離れた所に腰を下ろした。 凛「…触れられない。総司にも、左之助さんにも。綺麗過ぎて、触れられない…。」 あいつから出た言葉の意味。 自分がして来た事に、男というものを理解していなかった事に、悔しさがあるのだろう。 でも、俺はそうは思わない。 あいつは新選組を、京の町を救ったんだ。  
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