第二章 秘められた想い

5/18

3571人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
俺が初めてあいつと出会った時、それは衝撃だった。 まだ新選組が壬生浪士組だった頃、江戸からひとり京へ追い掛けて来たという。 それだけで十分変な女だと思ったが、あいつは『自分の事は自分でする』と言った俺に、強い口調で言い放った。 『人と話す時はちゃんと目を見た方が良いですよ!』 男である俺にそんな口調の女はあいつが初めてだった。 あの時から俺はあいつを女として見ていたような気がする。 でも沖田から奪う気なんて更々ない。 もちろん気持ちを伝える気もない。 ただ、陰からあいつを護ってやりたい。 沖田が護りきれなかったその時だけは、俺があいつを護ってやる。 しかし、その二番手争いは熾烈を極めるのだろう。 あいつに気持ちを伝えている平助。 本気ではないだろうが、時と場合によっては狙っている副長。 名乗り出てはいないが、あいつを狙っている奴は隊士の中にも数人は必ずいる。 そして俺。 でも俺は誰にもそれを譲る気はない。  
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3571人が本棚に入れています
本棚に追加