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俺が初めてあいつと出会った時、それは衝撃だった。
まだ新選組が壬生浪士組だった頃、江戸からひとり京へ追い掛けて来たという。
それだけで十分変な女だと思ったが、あいつは『自分の事は自分でする』と言った俺に、強い口調で言い放った。
『人と話す時はちゃんと目を見た方が良いですよ!』
男である俺にそんな口調の女はあいつが初めてだった。
あの時から俺はあいつを女として見ていたような気がする。
でも沖田から奪う気なんて更々ない。
もちろん気持ちを伝える気もない。
ただ、陰からあいつを護ってやりたい。
沖田が護りきれなかったその時だけは、俺があいつを護ってやる。
しかし、その二番手争いは熾烈を極めるのだろう。
あいつに気持ちを伝えている平助。
本気ではないだろうが、時と場合によっては狙っている副長。
名乗り出てはいないが、あいつを狙っている奴は隊士の中にも数人は必ずいる。
そして俺。
でも俺は誰にもそれを譲る気はない。
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