第二章 秘められた想い

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奴らの策とは、祇園祭の風の強い夜、御所の風上より火を放つ。 その混乱に乗じて帝を長州へ拉致するというのだ。 そして駆け付けた会津藩主松平容保侯と幕府よりの公卿は暗殺するという。 京の町に火をつけるということは、都を焼くということ。 多くの人の命が奪われ、また家を失う。 新選組はなんとしてでもこの策謀を止めなければならないのだ。 古高がこちらに監禁されているということは、既に伝わっているだろう。 今夜、必ず会合がもたれるだろうという事で、俺達は奴らを奇襲することとなった。 しかし動ける隊士は僅か三十四名。 そして、池田屋か四国屋だという。 新選組の隊を二つに分け、片方がはずれならもう片方へ駆け付けるという事になった。 局長には沖田・永倉・藤堂、以下六名。池田屋へ。 副長には俺を含めた他の隊士が四国屋へ向かう事となった。 敵が何人なのかは分からない。 しかしこちらには剣豪が揃っている。 俺達が負けるはずはない。 そして、あいつの仇は必ず俺がとってやる。 俺はこの上ない気持ちの高ぶりに身震いがした。  
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