第二十三章 試衛館大学

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試衛館大学病院第一外科部長の土方には家庭がある。 しかしそれは政略結婚。 院長である近藤の妹を嫁に嫁がせる代わりに与えられたポストは"副院長" だが、土方の嫁も政略結婚の犠牲者。 彼女には愛し合う人物がいた。 内科部長の山南。 結婚の約束をし、近藤の父であり、この病院の理事長、周斎に挨拶をしたところ猛反対をされた。 『娘を内科にやるわけにはいかない。』 それが反対の理由だった。 二人は無理矢理別れさせられる形となった。 だが、愛し合う二人を引き裂くことは難しい。 この二人は不倫関係にあった。 そして土方もまた、不倫関係にある女性がいる。 試衛館大学病院歯科医師の立本つぐみ。 彼女は試衛館大学剣道部の四つ後輩。 土方が部長だった五回生の時の新入生だった。 あの頃からの付き合いだからもう十数年になる。 若くして外科部長になった土方と、内科部長になった山南。 彼らを取り巻く女性二人の四角関係を知っている者は、この病院にほとんどいない。 唯一知っているのが、第一外科医師、沖田総司だった。  
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