第二十三章 試衛館大学

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つぐみのマンションの駐車場に車を停める。 足取りは非常に重かった。 彼女に別の女との結婚を奨められたと言って、誰が喜ぶのだろう。 ただ彼女を不安にさせてしまうということは分かっている。 しかし、一言言って欲しいだけだった。 『結婚なんてしないで』 と。 「良いんじゃない?勝手にすれば?」 つぐみはそう言った。 そして土方から視線を外した。 土方は唖然となる。 泣き付かれるんじゃないか。 そう思い、つぐみに『結婚なんてしないで』とだけ言われれば断るつもりだった。 「お前はそれで良いのかよ。俺が別の女と結婚したって良いって事だよな?」 声に怒気が含まれ、少し震えていた。 「勝手にすればって言ってるでしょ?その年で副院長なんてすごいじゃない。それを後押しして欲しくて私に話したんでしょ?」 違う、そうじゃない。 しかし土方は素直になることが出来なかった。 「あぁそうだ。お前の了承が得られれば何の問題もねぇよ。」 ソファに腰を落ち着けていた土方に、つぐみは振り絞るように声をかける。 「……出てって。」 「あ?!」 「出てって!もう二度と来ないで!」 つぐみの大きな瞳からは大粒の涙が零れ落ちた。 その涙を拭ってやりたい。 しかし… 「あぁ、出てってやるさ。」 扉がパタンと閉まった後、つぐみはその場に泣き崩れた。  
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