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たとえ政略結婚とはいえ、事実上夫婦になるのだ。
今はお互いに気持ちが無くても、共に生活していくうちに家族としての愛情が芽生えるはずだ。
そう思っていたのは、"妻"だけだった。
"夫"は結婚式当日も、全てにおいてスマートにこなした。
大勢の来賓がいる中、新郎として、外科部長として、淡々と出来るのは"妻"への愛がないからなのか。
全ては創られたもの。
感情は入らない。
与えられた任務を果たすだけ。
結婚式当日、新婚初夜となるその日に、"夫"は"妻"の元へは帰らなかった。
「最低な男ね。」
土方の左胸に頭を置きながらつぐみは呟く。
「その最低な男に抱かれてるのはどこのどいつだ?美人歯科医で評判の立本先生?」
「来ないでって言っても来るのは誰よ。」
「嫌なら入れなきゃ良いじゃねぇか。」
拒めるはずがない。
何度も自分に言い聞かせた。
土方とこの関係を続ければただの愛人になってしまう。
でも、つぐみは土方を拒むことはできない。
土方を愛しているから。
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