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「はぁ……」
深くため息を吐き、後頭部を掻いた。
「…ったく、沖田も役に立たねぇな。」
めんどくさそうにかけてあったワイシャツをバサリと羽織った。
口を開かないつぐみに、土方は背を向けながら言う。
「あいつがまた自殺未遂だってよ。沖田先生は交通事故で運ばれて来た患者のオペ中。」
聞いてもいないことを土方は喋る。
「奥さん、そんなに苦しんでるんだね…」
自殺未遂を何度となく繰り返しているのは土方の妻。
彼女が自殺未遂を繰り返すのに、土方との夫婦関係の問題が関わっていることは分かっている。
おそらく、自分の存在にも気付いているだろうとつぐみは思う。
だからこそ、土方との関係を切らなければならないことは、頭では理解しているのだ。
ただ心がそれについて行ってないだけで…。
着替えを終えた土方が玄関へ向かう。
その背中を見ながらつぐみは決意する。
土方を見送るのはこれで最後にしようと。
自分が引くことで一人の女性を救えるのであれば。
「…じゃあまた連絡する。」
ドアノブに手をかけながら土方は言う。
「……………」
何も言葉を出せず、土方の背中を見送った。
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