日常

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   教室内には生徒達が各々自由に雑談しているためか、声があちらこちらから喧しく聞こえてくる。  俺は机に伏せていた。体全体の力を抜いた状態で顔を伏せて目を瞑っている。 「ちょっと」  頭上近くから声が聞こえてきた。しかし俺に呼び掛けているとは限らない、と言うよりも起きたくないので無視しておく。 「ちょっと!」  さっきよりも強い口調の声が聞こえる。やっぱり俺が呼ばれているようなので顔を上げることにする。 「はあっ!!」  けれど、次の瞬間には俺が顔を上げるよりも早く脇腹周辺に酷い痛みが走り、バランスを失いそのまま体が横に倒されて椅子から落ちて尻餅を着いていた。 「~~っ! ……何すんだよ!」  俺の名前は椰子 光一[ヤシ コウイチ]。高校2年生で名前でわかる通り男だ。  今はたしか授業が終わりその後にある休み時間だったはずだ。  俺は机の上に両腕をクロスさせて置きその上に顔を伏せる様に乗せてそのまま眠ってしまおうとしていたところだ。  しかし、俺の目の前に立つ鳥山 美優[トリヤマ ミユ]によってその目的は失敗に終わった。  鳥山は俺のクラスメートの女子で、基本的に男子に対しての扱いが酷いので俺達男子にとっては天敵である。  容姿自体は悪くはないのでなかなか周りからの評判は良いようだが胸は絶壁だとクラスメートの男子が言っていた。それよりも性格に難ありと言うのが一番の欠点だろう。  
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