独つ

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彼が住んでいたのは都心部。 しかし、自分の家などはない。 持てないからだ。 つまり、彼はホームレスだ。 他の奴らが頑張っていても、自分の今日の食い物を確保するだけ。 他との付き合いなんて……論外。 そんなヤツ。 しかし、彼にも転機が訪れる。 ある日自分の住処に戻ると居たそれは、猫だった。 可愛い三毛猫。 首輪をしていないので、恐らくは野良猫だと思う。 猫の体は小さかった。 だが、彼はよそ者は嫌いだった。 だから猫も追い払った。 猫の「ミー」という声が頭に残る。 まだ子猫だったのか? そんな考えしか浮かばない。 可哀想なんて、思わなかった。 いや…思えなかった。
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