85人が本棚に入れています
本棚に追加
「…こんな夜中に勝手に人の家へ上がり込んで、何しょーもないギャグ言い出すんですか?…コスプレ好きのサタンさん?」
少年は冷たい視線をサタンに向ける。
少年――クルークはプレゼントをもらってもおかしくない年頃だが、別にサンタクロースを待ってこんな夜中まで起きていたわけではない。
彼は新しい魔法の開発中だった。薬品や魔方陣を用いる、子どもにしては慎重かつ高度な魔法だ。
そこへ不法侵入された上に実験の邪魔された今の彼は、不機嫌極まりなかった。
「…おい、コスプレと言ったな?…確かにこの服はコスプレだが……しかし、いつもの服はコスプレではぬぁぁいっっ!!…しかも【サタンさん】だと?ワタシは【サタンさま】だ!!」
「(自分で言っちゃったよこのおじさん。やっぱ危ない人だな…)」
周囲から見ると、この少年の思考や素行も十分危険なのだが。
「…まぁ良い。今宵ワタシ自ら来たのは他でもない。ワタシことサタ……サンタのサポートを頼みたいのだっ!!」
「帰って下さい。ボクは今忙しいんだ」
クルークはもう一度試験管に薬を入れて魔方陣と見合わせた。
その様子を見たサタンは、クルークから試験管を取り上げ、じっと彼の目を真剣に見つめた。
「な、何なんですか……?」
「…お前じゃないと…駄目なんだ」
「!!」
最初のコメントを投稿しよう!