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旦那様はちゃんと後の事を考えて物事を進めてるのですかね?…それでなければ、少しきついお灸を据えなければ。
ギルはハルの書斎のドアをノックし返事を待った。
「入って良いぞ」
「失礼しましす」
ギルはドアを開け軽く頭を下げて中に入った。
ハルは中央にある机で書類を広げ1人険しい顔をしていた。
「なっ、ギルか」
ハルは入って来たのがギルだと解ると顔を青くした。
「私が来た理由はわかりますよね?」
ギルは少しだけ殺気を出しながら詰め寄った。
「もっ、もちろん!!学校に行く理由だろ?それはサッ、サラの護衛だ!!最近何かと物騒だろ?」
ハルは冷や汗をかきながら視線をそらした。
くすっ、嘘だってわかりやすいですね。
でも、まぁ私も悪魔では無いのでそう言う事にしてあげますかね。
「そうですか。それなら納得します」
ギルは営業スマイルをしてから部屋を出ようとした。
「あっ、言い忘れてたけど、学校は寮制だから」
ハルはギルの営業スマイルを見て警戒を解いたが…
シュッ!!
ザクッ!!
寮生と言った瞬間、ハルの頬をナイフがかすった。
ナイフは今朝、サラがギルに投げた物で、壁に突き刺さるどころか貫通してどこかに消えていった。
「朝投げられたナイフが役に立ちました。私が寮に入ったら仕事出来ないじゃないですか」
ギルは笑顔のまま、違うナイフを取り出した。
「ギッ、ギルには学校でサラの事だけをやってもらいたい」
ハルは少し血が出ているかすり傷を指で恐る恐るなぞった。
「そうですか、なら良いです。それでは仕事に戻るので失礼します」
ギルは転移で部屋に戻った。
部屋で1人になったハルは傷を魔法で治してから呟いた。
「もうそろそろ、自分を許して楽しんで来いギル…」
ハルの顔は悲しみしか感じる事が出来なかった。
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