0章 始まりの朝

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旦那様はちゃんと後の事を考えて物事を進めてるのですかね?…それでなければ、少しきついお灸を据えなければ。 ギルはハルの書斎のドアをノックし返事を待った。 「入って良いぞ」 「失礼しましす」 ギルはドアを開け軽く頭を下げて中に入った。 ハルは中央にある机で書類を広げ1人険しい顔をしていた。 「なっ、ギルか」 ハルは入って来たのがギルだと解ると顔を青くした。 「私が来た理由はわかりますよね?」 ギルは少しだけ殺気を出しながら詰め寄った。 「もっ、もちろん!!学校に行く理由だろ?それはサッ、サラの護衛だ!!最近何かと物騒だろ?」 ハルは冷や汗をかきながら視線をそらした。 くすっ、嘘だってわかりやすいですね。 でも、まぁ私も悪魔では無いのでそう言う事にしてあげますかね。 「そうですか。それなら納得します」 ギルは営業スマイルをしてから部屋を出ようとした。 「あっ、言い忘れてたけど、学校は寮制だから」 ハルはギルの営業スマイルを見て警戒を解いたが… シュッ!! ザクッ!! 寮生と言った瞬間、ハルの頬をナイフがかすった。 ナイフは今朝、サラがギルに投げた物で、壁に突き刺さるどころか貫通してどこかに消えていった。 「朝投げられたナイフが役に立ちました。私が寮に入ったら仕事出来ないじゃないですか」 ギルは笑顔のまま、違うナイフを取り出した。 「ギッ、ギルには学校でサラの事だけをやってもらいたい」 ハルは少し血が出ているかすり傷を指で恐る恐るなぞった。 「そうですか、なら良いです。それでは仕事に戻るので失礼します」 ギルは転移で部屋に戻った。 部屋で1人になったハルは傷を魔法で治してから呟いた。 「もうそろそろ、自分を許して楽しんで来いギル…」 ハルの顔は悲しみしか感じる事が出来なかった。
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