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「よろしくね」
私が話し掛けると彼は私に一瞥だけ与え、何も言わずに席についた。
ピクリと動きそうになるこめかみを意思の力で必死に食い止める。
「転校したばかりで大変だろうから笹本、お前面倒みてやれ」
自分を抑えることに集中している間にホームルームは終盤に差し掛かっていたらしい。
いきなり名指しされてビクリとする。
「じゃあ、終わり。今日もしっかり勉強しろよ」
馬鹿兄貴は任せたとばかりの無責任な視線を私に投げ掛け、教室を(逃げ)さっていった。少なくとも私にはそう見えた。
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