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きっと女性が置いていったのだろう、まだ新しい事が伺がえる花束の隣には、缶詰のキャットフードと……
白いベルトに金色の鈴が付いた首輪。
その首輪に見覚えが有り過ぎた私は、眉間に皺を深く刻み込む。
昨日……あの黒猫がしていた首輪だ。じゃあ……あの女性は、黒猫の飼い主か何かだろう。
「……っ、たかが猫一匹の為に、こんな事してんじゃないわよ……! 管理出来ないアンタが悪いんじゃないっ」
私が全て悪い。そんな罪の意識を感じさせるような花束に、腹が立つ。私は悪くない。過去に私をあんな目に遭わせた黒猫が……っ、猫一匹管理出来ないあの女性が悪いんだっ。
人気の無い道で良かった。私は、置かれた花束と首輪を──
思いっきり踏みつけた。
何度も何度も
強く強く強く
気が済むまで、踏み続けた。
原型を失った花束と、ヘコンだ鈴の首輪を見てようやく落ち着きを取り戻し、自然と笑みが溢れる私。
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