黒猫【二】

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   停止していた思考がようやく回転して恐怖が一気に体を駆け巡り、体は尋常では無いくらいに震え出す。浅く荒い呼吸を繰り返し行うも息苦しさは全く解消されず、私はその場に倒れ込んだ。  段々と薄れて行く私の視界には、周りに駆け寄って何か喋っている人々と、  ……人々の隙間から、私に向かって薄気味悪く笑みを浮かべる、黒のワンピース姿の女性だった。 ゆ る さ な い  女性の口元がそう発したような気がした。
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