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オレはボーッと食卓の料理を眺めた。
どうやらコース料理らしい、前菜のマリネのような物がある。
酸っぱい匂いが食欲をそそる。
そこへ、茉莉と瑞穂さんが入って来た。
「あ、慧、もう来てたんだ」
「あぁ。あ、お前の席はそこだぞ」
「ありがと」
あれ?
「茉莉、リノって子は?」
「それが・・・」
そう言って茉莉は瑞穂さんに目をやる。
「それがね、あの子部屋に行っても居なくて、軽く探したんだけど見つからないのよ」
「え・・・」
「でもホラ、お腹空いたらまたひょっこり出てくると思って」
「そ、そうですか・・・」
おいおい、まだこっち着いて1時間も経ってないぞ。
早くも行方不明者が出たのか?
「で、ではリノちゃんが居ませんが、全員揃ったのでどうぞお召し上がり下さい」
加奈子さんが場を取り繕い、全員が料理に手をつけ始めた。
「お・・・おいしーい!」
茉莉がまず叫ぶ。
「確かに、これは美味い」
「そうね、良い仕事してるわ」
鷹史と瑞穂さんも言う。
じゃあオレも一口・・・た、確かに美味い・・・
「あのコレ、加奈子さんが作ったんですか?」
「はい、私料理学校に通ってて、料理は得意なんです♪」
へぇ・・・そうだったのか。
そんな感じで、食事の時間は幕を開けた。
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