ポプラへ

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数十分後、一人の人が入ってきた。 女性・・・大人っぽい雰囲気の女性だ。 年齢は24、5くらいだと思うが、イマドキの若者にあるチャラチャラ感は微塵も無い。 ふと女性はこっちに話し掛けてきた。 「アラ、あなたたちが栗生くんと大和さん?」 「あ、あぁ、そうだけど・・・」 なぜ名前を知っている? 「名前はどこで・・・」 「さっきの品川ってお爺さんに聞いたわ、バスの中でその二人が待ってるってね」 なんだ、そうだったのか。一瞬焦ったぞ。 「今日から1泊2日の間宜しくお願いします♪」 茉莉が陽気に挨拶する 「ヨロシク。それはそうとあなた達、今回のツアーの概要はご存知?」 「いや、概要どころかポプラという建物さえよく知らなくて・・・」 「ポプラ?あぁ、私達の泊まる場所ね」 「貴女は何か、知ってますか?」 茉莉が尋ねる 「これだけは言っておくわ、あそこは多分携帯の圏外よ」 うわ・・・ミステリー小説によくある展開。携帯が通じずに外界と隔離ってのよくあるからな・・・ 「ま、私が知ってるのはそのくらい」 「そうですか・・・」 「あ、私の名前まだ言ってなかったわね。私は雛本瑞穂(ひなもと みずほ)」 「雛本さんですね」 「呼ぶ時は『瑞穂さん』でヨロシク」 「あ、はい」 そう言って瑞穂さんは少し前の席に腰を下ろした。 ん?もう1人、一番前の席に座ってる。 少女?小学校高学年くらいの大人しそうな子が居る。 親らしき人はいない、こんなツアーに1人で? しかしその子は、こちらの思いも気にせずにちょこんと席に座っていた。
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