第一章 変革の嵐

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「インドネシアか…岩渕君は行った事あるんだよな?」 「ええ、東チモールだけですが。」 東チモールとはインドネシアから独立した21世紀最初の独立国である。 岩渕少佐は医療支援で行った事があるのだ。 「未だに衛生上改善すべき点がありますからね…この時代に来たのも何かの縁なんでしょうかね?」 岩渕少佐は医療支援の事を思い出していたようだった。 「多分そうだろうな。我々の辿った歴史の失敗を繰り返さない為にもな。」 私も同意はしていた。 人生は一回きり、世界もだ。しかし一回きりの世界でやり直しが出来たのなら… そんな事を思いながら我々はマニラの司令部を後にした。 司令部近くにはクラークフィールド飛行場から借りてきたサイドカー付きのオートバイが止まっており、私は岩渕少佐と乗り込んで飛行場へと向かった。 辺りには戦闘の痕跡が残っていた。 通りでは日本兵が地元の子供達とメンコで遊んでいた。 兵士達と子供は笑顔で遊んでいた。 こんな穏やかな占領政策が続いてくれればいいと思っていた。 サイドカーの速度を落として近づくと兵士達が私達に気付く。 「お疲れ様です!」 陸軍の制服を着た私達に敬礼をして来たのだ。 「いいから子供達と遊んであげなさい。」 私がそう言うと兵士達は再びメンコを初めていた。
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