①番

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森の昼下がり、小鳥があちらこちらで鳴いている。 暖かい春の陽の光に花々が顔を向け、木々からは新芽が萌出ていた。 心地よい季節になったものだと、熊さんは昼寝をしていた。 ……しかし、あることで目が覚めた。どうも城の方が慌ただしいのだ。 「ふぁ~っ……ったく…人間は迷惑だなぁ。」 少しキレ気味で熊さんは体を起こし、耳をすませた。 「………………姫様はこちらにはいませんでした!」 衛兵の声がした。 「……森の方も探せ!」 これはまずい。城の兵士たちが森に来る。 熊さんは慌てて自分が住む穴に戻った。
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