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◆◆◆
「私、アナタのことを――愛しているのです」
「…………やだ」
◆◆◆
……困った。
「嫌だ嫌だって何様ですかアナタ? それとも、それが噂のツンデレってやつですか?」
そいつは、俺を押し倒して、抵抗のできない俺の上に馬乗りに乗り、無邪気に笑う。
腹の上から感じるそいつは、細い見た目通りに軽く、乗られているというのに、それ自体は苦であるとは思えない。
苦であるのは、それ以外の色々なものだ。
伸ばし放題にして、その髪を後ろで猫の尻尾みたいに一つにまとめた、赤いくるくるとした長毛種の子猫の毛みたいな髪。
細い四肢と猫背気味の小柄な身体。
そして、猫じゃらしを捕らえた子猫みたいな、可愛らしい無邪気な、少女の笑顔。
「単純な質問ですよ? このまま私に生きたまま解体されて死ぬのと、この私に愛し愛されてそのまま彼氏彼女の関係になるか、二つに一つだけなんですから」
そんな子猫みたいな少女は、にへらと笑いながら、そんなとんでもない愛の告白の返事二択を俺に持ち掛けてきた。
ただし、その笑顔のオプションは、今現在、俺の首に当てられている百円ショップのカッターナイフという、普通の愛の告白には到底必要であるとは言えないようなオプション。
つまりは、冗談抜きで現在の俺は、Dead or Alive、らしい。
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