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「これはっ、その、ええっと……」
あうあうと呻きながら何か言い訳をしようとしている姉さん――萌えっ!
何かもういちいち可愛らし過ぎる仕草が俺の心のいけないところをくすぐるね。
今さら文庫本を隠そうとしているところとか、
ぐるぐると目を回しながらあうあう呻きまくってるとことか、
もう涙目になりながらしゃくり上げているところとか――……ん? 涙目? しゃくり上げて?
「ひっぐ……」
「…………」
泣いてらっしゃる!?
弄り過ぎた!? いや、いやいや、待て。待て待て落ち着け! 俺は何もやってないよ!? 俺はまだ「アンタのか」と「何で俺の部屋にあったの」としか訊いてないじゃないか、落ち着け! たしかに一握りの悪戯心と確かなヘタレ姉萌え心があったけど、別に泣かせるつもりなんてものは微塵もなかったわけで――――っ!
「遥香ぁ、遥香ぁー。京平君にいじめられましたー……」
どうしたものかと姉さんから目を離していたうちに、姉さんがケータイ電話へと何か言ってる。
「遥香ぁ……京平君泣かせちゃって下さい……バタッ」
あれ? あれれ? 何か口でバタッとか言って倒れたよ? ええ? つーか、ねえ、姉さん、アンタ、まさか――……
「……京平様」
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