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いきなり後ろからがっしりと頭を掴まれて、俺の頭蓋骨がめしめしぃと悲鳴を上げてる。痛いっ。
後ろから掴まれているため、誰かどんな顔で俺の頭を掴んでいるのかは見えないけど、むしろ見えなくてよかった。
あと掴んでるのは絶対に遥香さんだ。
「京平様、アナタ……いったいここで何を……?」
「あ、あああああのですね? とりあえず一度頭を掴まれたまま上へ上へと持ち上がっていく俺を降ろしてからゆっくりと話し合うべきではないかと……」
「京平様、私はそんなことを訊いているのではございません。私は、アナタが、――私のお嬢様に、何をなされたのかと訊いているのです」
「いや、だから、何も……」
「嘘をおっしゃらずに。お嬢様がそこで涙を流して倒れられているわけを――話しなさい」
強制でした。
頭蓋骨の上げる悲鳴がさらに凄まじいものになってきた。めしめしぃ。ヤバい。これ握力による頭蓋骨陥没で死ねるんじゃね?
話をしようにも話を聞いてもらえない上に、遥香さんは姉さんの死んだふり(涙を流した跡あり)を見ながらプルプルと何かを堪えるように震えているわけで。
「ああ、もう。めんどくさい糞豚野郎ですね。もういいです。何か、最後に言い残すことがございましたらどうぞ」
「待って! お願いだから落ち着い――ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!? 割れる!? 頭蓋骨が割れらあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
頭蓋骨が割れる寸前。俺は意識を手放した。
まさか、俺の意識がない間に誘拐されてしまうなんてのは知らずに――……。
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