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「むがーっ!?」
「むがーっじゃねぇですよ!?」
「ふんがーっ!?」
「ふんがーっでもねぇ!? いい加減にしないと本当に殺しますよ!?」
そんなこと言われても口が塞がれてるんだからしょうがないだろうが。
頑張ってそれを証明してみせようにも、わざとかってくらいにコイツは人の話を聞きやがらねぇ! 理不尽っ! すっごく理不尽っ!
ごりごりとこめかみに当たっている硬くて冷たい感触に怯えながら、俺は必死に叫ぶ。
「むがああああああああああああああああああ!?」
――助けてええええええええええ、と。そう聞こえないけど。
「うるせえんですよおおおおおおおおおおおおおおお!?」
当然そんな俺の必死の叫びが噛まされている猿轡越しに伝わるはずもなく、なおもごりごり。気のせいか視界の端でトリガーにかかってる指が力んで震えているように見える。ええ? マジで? ちょっと本当に勘弁してくれよ。
「いい加減に、言いたいことがあったらクッキリハッキリ言ってみたらどうなんですか! ――このっ……!」
ものすごく乱暴に猿轡を引き剥がされて、口許を走る鈍い痛み。
「ぷはぁ……っ」
むせ返る空気。塞き止められていた水が溢れるように空気が口から溢れ出て、俺は肺を埋めるように息を吸い込んで、――思いっきり叫ぶ。
「てめぇ――ふざけてんじゃねぇぞゴラァ!?」
「ひぃ――――ッ!?」
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