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いきなり叫んだ俺に驚いてか、小さな悲鳴の後に細い影がよろけて後ろに倒れる。それと同時に、頭に突き付けられていた硬くて冷たいのが離れた。
でも、それだけ。
逃げようにも逃げられない。そういえば俺はベッドに縛り付けられているんだった。
いや、ってゆうか、
「俺をこんな目にあわせやがって……、てめぇはどこのどいつだゴルァ!? 俺を誰だと思ってんだゴルァ! 今すぐこの縄解いてそこに跪きやがれ!」
うわぁ。俺ってばすごく悪役っぽい!
「ひ、ひぃぃ……!?」
「ひいひいうるせえんだよ! わかったらとっととこの邪魔な縄を解きやがれ、糞野郎!」
かくかくと首を振りながら、影のやつは俺をベッドに縛り付けている縄をびくびくと怯えながら解いた。
まさか本当に解いてもらえることになるなんて。実はまったくこれっぽっちも思ってもなかったが、助かった。
ガクガクと膝を揺らしている影のやつの目を盗んで床に落ちていた拳銃を拾い上げる。たぶん頭に突き付けられてたやつだろう。
「さて、と。……とりあえず、動くな」
びくりと大袈裟に影が揺れるが、暗くて相手の姿がよく見えない。このままだと何かの弾みに今の立場が逆転しかねない。
部屋の中を壁沿いに手をついて電灯のスイッチを探す。部屋は意外と小さいようで、すぐにみつかった。
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