5356人が本棚に入れています
本棚に追加
泣くのは好きじゃない。
なんだか、泣けば泣くほど自分が弱くなる気がするから。
誰も見ていないのは分かっているけど、どうにか涙を隠したくて、腕で目を覆った。
「あっれ~?……先客?」
どれくらい時間が経ったのだろう。
泣きすぎて頭が痛くなってきた頃。
なにやら聞こえてきた明るい声。
なんだか今の自分の気持ちとは正反対な脳天気なその声に、少しだけイラッとする。
何事かと思ってそっと顔を上げると、そこには金色の光ーーー
「……えっ!?」
あまりにびっくりして、思わず涙も引っ込んだ。
落ち着いてよくよく見ると、光ではない。
「髪……すごい色だね」
初めて話す相手なのに、そんなことを呟いていた。
最初のコメントを投稿しよう!