薔薇

6/14
前へ
/55ページ
次へ
「かずっ…!」 透き通るような声がしたかと思うと、一哉の友達、葵君が俺達のところへ歩みよってきた。 うっすらと浮かべた微笑が綺麗だった―――。 見惚れていると、葵君は俺に話しかけてきた。 「あの…相原先輩…ですよね…??? いつも、カズと海がお世話になっています。」 ペコリとお辞儀する。 俺より身長の低い奴は少ないから、見上げられるのが新鮮だった。 ―――ん? カズ…と海!? カズはきっと一哉のことだろう。うん、納得できる。さっき友達だって本人が言っていたし…。 でも、海って海だよな!? 「君、海と知り合い!?」 俺がびっくりして声をあげると、葵君は頬を紅く染めて困惑した表情になる。 「ぇ、えっと、知り合い…というか…、なんというか…。」 俺が答えを待つように彼のことを見ていると、海がパンやらジュースやらを抱えて戻ってきた。 「あっ!留衣!? 何、葵のこといじめてるんだよ!?」 軽く言い掛かりをつけられてる俺。 葵君は焦ったように海に弁解している。 ――めっちゃイイコだな。 .
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加