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「ねぇ?
なんで笑わないの???」
彼の素朴な疑問。
「俺には、感情がないから」
それだけ言って、花壇を去った。
向かった先は、教室でも、学校の敷地内にある何処かでもない。
嫌な記憶のある場所。
――――昔住んでいた家。
久々のその場所は、少し荒れていた。
『お前のせいで…!!』
『いなければ良かったのよ、こんな子!!!』
『消えて!!!』
頬を涙が伝っていた。
嫌な記憶。
俺は、親に虐待されてた。
そのせいか感情が消えた。
人形のようにいつも無表情で、無口になった自分が、
―――正直、疎ましい。
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