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「痛っ…」
巧は自分の鼻を押さえながら鼻血が出ていないか確かめる
綾奈のパンチは土手っ腹に入った
その拍子で巧は顔面から崩れ落ち、鼻を強打してしまったのだ
「鼻血…出てるし…」
巧はポケットテッシュを出し鼻血の出ている穴の方に詰め込む
「めちゃくちゃ格好悪いよ?」
「うるせーよ」
綾奈はアドバイスをしているつもりだろうが巧にとっては嫌みにしか聞こえない
巧と綾奈はそんな会話をしながら歩いているともう家の前だった
今更だが巧の家はマンションの一室である
月々の家賃は仕送りで払っているが仕送りは大体それで無くなってしまう
モテようとして見栄を張ってもただ金が無くなるだけである
「夕飯どうすっかな…」
ドアを開け家に入ると巧は呟いた
「僕が作ってあげようか?」
「マジでか」
「マジだよ」
「マジでか」
「しつこいよ」
綾奈は巧に対してめんどくさそうな顔をすると台所へ向かっていく
「生意気なガキめ…」
巧は小さく舌打ちをして綾奈の後を追い掛けた
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