薔薇と、冠と

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家を出たことに後悔はない。 けど、こんな事になるなんて誰が想像出来たというんだ。 「射撃開始。足を止めた後包囲し確実に射殺しろ」 「はっ!!」 目の前で知らない人たちが争っている。 わたしは知らない。 何もしていないはずだ。 わたしは座り込んでいるだけなのだから。 わたしはただ、呆然と見ているだけなのだから。 乾いた音がして地面が震え、誰かが銃を撃ったのだとぼんやり考えつく。 わたしは何をしているのだろう。 始まりは一体どこからだったのだろう。 森を抜けた時か、 あの環境に育った時点か。 原因は…何だったのだろう。 働かない頭を必死に廻らせても、浮かぶのはただ───
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